何しろたった今まで全力疾走でもしていたのかと思うほどに顔は真っ赤だし汗びっしょり。
気温が低い晩秋という時期だったせいか、体から湯気が立っている人は初めて見た。
声をかけてきたのは女のコの方で、半ば上ずった声で「早くしましょう?」なんて言われたら、それに応えないのは社会人として失礼だろうと思い、最寄りのモーテルを探した。
しかしその町はモーテルすら無いことを女のコから聞かされ、じゃあどこでしようかと困ったら、女のコが乗ってきた車のシートを倒せばできると言ってきたので、その攻める姿勢には参ってしまった。
実家の畑仕事で使うステーションワゴンなので肥料や農薬の臭気が混ざった異様な空間だったが、都会では絶対にできない貴重な経験に俺も年甲斐も無く興奮してしまった。
持参したコンドームのうち、使ったのは三枚だったが、女のコが使用済みの中身を車内にあったバケツの中に入れたのは少し驚いた。
動物性たんぱく質は良い肥料になるらしいが、それだけは都会人である俺には理解出来なかったのだ。
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