そう言いながら、彼の顔が横に移動してくるのが分かる。
彼は、キスが好きだと言っていた。
私もキスが好きだと言った。
今がその時だと、私は彼の無言の要求に応じる。
力強く、離れることを許さないキス。
あぁ、これは本当にキスが好きな人のキスだ。
唇も舌も、少しも離れようとしない。
私は次第に、息つぎとも喘ぎともとれる声を漏らし始める。
あぁ、そうだ。
私はキスでも声を出してしまうんだった。
そんなことを考えていると、彼の手が胸に移動してきた。
嫌、ではない。
でも私は、どこ触ろうとしてるんですか〜、と柔らかく拒む。
「ダメ?」
と聞いてくる彼が愛しい。
ダメじゃないけど汗かいてるので、と最もらしい理由をつける。
それでも彼は、また力強くキスをし徐々に侵食してくる。
こうなったら、拒む理由はない。
でも、続きはゆっくりできるところで、と。
唇を離すのはとても名残惜しいけれど、再び車を走らせる。
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