深夜2時のサウナ施設。
仕事の疲れを癒しに来た健一は、サウナ上がりの火照った体を休めるため、リクライニングチェアが並ぶ休憩エリアの個室ブースにいた。
パーティションで区切られただけの狭い空間。
隣のブースからは、微かに衣擦れの音が聞こえてくる。
ふと、仕切りの下から、誰かの手が滑り込んできた。
「……っ!」
驚いて息を呑む健一。
しかし、その手は迷いなく健一の足首を掴み、ゆっくりと内腿を這い上がってきた。
隣にいるのは、さっき浴場で見かけた、彫りの深い顔立ちをした逞しい年上の男だ。
「……静かに。声を出したら、外に聞こえるぞ」
リクライニングチェアが、男が乗り込んできた重みで小さく軋んだ。
健一は、サウナハットを深く被り、顔を隠したまま、男のなすがままにされるしかなかった。
「君、サウナでずっと俺のこと見てただろ。……ここ、こんなに熱くなって……期待してたんだろ?」
男の節くれ立った大きな手が、健一の腰回りに巻かれたタオルを剥ぎ取る。
サウナで温まり、過敏になった健一の肌に、男の冷えた指先が触れるたび、脳に快感の火花が散る。
男は健一の耳元に唇を寄せ、熱い吐息を吹きかけながら、その逞しい指で健一の先端を執拗に転がした。
「あ、……っ、ん……っ」
声を殺そうとすればするほど、鼻から漏れる喘ぎが淫らに響く。
一回。
熟練の指使いに翻弄され、健一は挿入すらされる前に、激しく腰を跳ねさせて最初の大噴火を起こした。
「……いい反応だ。次は、もっといい思いをさせてやる」
男は健一を無理やり椅子にうつ伏せにさせ、潤滑剤代わりにサウナで流した汗と、溢れ出た愛液を広げた。
「ま、待って、……そこは、……っ!」
「いいから、力を抜け。……ほら、ここが欲しくてヒクついてるぞ」
男の太く猛々しい剛直が、健一の未知の領域へとゆっくりと、しかし確実に食い込んでいく。
「ああああぁぁぁ……っ!!」
喉の奥で悲鳴を押し殺す。男同士の肉がぶつかり、湿った音がブース内に響き渡る。
男のピストンは、サウナの熱気で朦朧とする健一の意識を、さらに快感の泥沼へと引き摺り込んだ。
「あ、あぁっ! 奥まで、……全部、来てる……っ! すごい、……すごすぎるよぉっ!」
三回、四回、五回……。
見知らぬ男に抱かれるという背徳感。
そして、男の肉体ならではの圧倒的な力強さと熱量。
健一は自分を「男」だということも忘れ、ただひたすらに突かれ、果て続けるだけの「器」と化していた。
「どうした、もっと欲しがれよ。……ほら、ここだろ?」
男は健一の一番弱い場所を、正確に、そして無慈悲な速さで抉り続ける。
ブースの外では、他の客の足音や、自動販売機の音が聞こえる。
その「日常」と、この「異常」な快楽のコントラストが、健一を狂わせた。
「あ、あぁっ! 七回目……っ、八回目……っ! もう、……イきすぎて、おかしくなるぅぅっ!」
十回、十一回……。
健一は、自分が何度果てたのか数えることすらできなくなっていた。
男が果てるたびに、健一の奥は熱いもので満たされ、その重みに耐えきれず、彼は何度も、何度も、噴き出すような絶頂を繰り返した。
「ほら、十二回目だ。……まだ、こんなに欲しがって……」
「あ、あぁっ! イッちゃう、イッちゃうぅぅっ! 全部、……全部くださいぃぃっ!!」
十五回、十六回……。
最後には、健一は快感の過負荷で白目を剥き、声にならない悲鳴を上げながら、狭いリクライニングチェアの上でガクガクと震え続けた。
やがて男は何も言わず、服を整えてブースを出ていった。
健一の手元には、男が去り際に残した一枚のライターだけが転がっていた。
汗と、自分の中から溢れ出たものでドロドロになったまま、健一はただ虚空を見つめていた。
体中に刻まれた男の匂いと、奥に残る重みが、今の出来事が現実であることを告げている。
翌朝、何食わぬ顔で駅に向かう健一の背中は、昨夜の蹂躙を全く感じさせない。
しかし、彼の体はすでに、あの薄暗いブースの熱気と、見知らぬ男の強引な指を求めて、疼き始めていた。
