「……狭いな、ここ」
「文句言わないでよ。終電逃したんだから、始発までここで我慢するしかないでしょ」
飲み会に失敗した帰りの深夜1時。
直樹と真由は、漫画喫茶のペアシートにいた。
靴を脱いで上がる、フラットタイプの狭いブース。
横になれば、嫌でも互いの肩や足が触れ合う。
ドリンクバーで持ってきたコーラの氷がカランと鳴り、ヘッドホンからは微かに、店内に流れるジャズが漏れていた。
「真由、……ちょっと、脚当たってる」
「仕方ないじゃん、狭いんだから」
そう言いながら、真由はわざと直樹の太ももに自分の足を絡めた。
お互い、酒が回っている。
薄暗い照明の中、モニターの待ち受け画面の明かりが、真由の少し上気した横顔を青白く照らしていた。
沈黙が流れる。
隣のブースから聞こえるマウスのクリック音や、通路を歩く店員の足音が、二人の緊張感を煽る。
直樹の手が、何気なさを装って真由の膝の上に置かれた。
「……なお、……やめてよ、ここ、壁薄いんだよ?」
「わかってる。……だから、声出すなよ」
直樹の指が、真由のタイトなスカートの裾から滑り込む。
ストッキングの伝線を気にすることもなく、彼は彼女の最も過敏な場所を、布越しに執拗に愛撫し始めた。
「ん、……っ、ぁ……!」
真由は、隣に聞こえないように咄嗟に自分の口を両手で塞いだ。
直樹の指は、まるで彼女の熱を探り当てるように、執拗に、ゆっくりと、しかし確実に彼女を「女」へと変えていく。
一回。
マウスのクリック音に喘ぎを殺しながら、真由は最初の大噴火を起こし、直樹の腕にガクガクと震えながらしがみついた。
「真由、……もっと、中まで触っていい?」
「だめ、……誰か、来ちゃう……っ、あぁっ!」
直樹は真由を狭いシートの上に押し倒した。
合皮のシートが「ギュッ、ギュッ」と卑猥な音を立てるたびに、二人はビクッと体を硬直させる。
しかし、その緊張感がさらに彼らを狂わせた。
直樹は自分の服を脱ぎ捨て、真由の脚を無理やり広げた。
「あ、……なお、……それ、入っちゃう……っ!」
「いいよ、……声出さなければバレない」
直樹の太く熱いものが、真由の奥深くを一気に貫いた。
「ああああぁぁぁ……っ!!」
喉の奥で悲鳴を押し殺す。
二人の肉体がぶつかる湿った音が、狭いブース内に充満する。
真由はヘッドホンを手に取り、それを直樹の耳にかけることで、外の音を遮断し、自分たちの世界へと完全に閉じこもった。
「……真由、……まだ、イき足りないんだろ?」
直樹のピストンは、止まることを知らなかった。
真由の腰をガッシリと掴み、彼女の一番弱い場所を、正確に、そして無慈悲に抉り続ける。
「あ、あぁっ! 五回目……っ、六回目……っ! もう、……中が、ドロドロで……おかしくなるぅぅっ!」
七回、八回、九回……。
真由はもはや、友情なんてどこかに消し飛んでいた。
狭い空間で、直樹の男臭い匂いと、自分の中から溢れ出る蜜の匂いに包まれ、彼女はただ、自分を貫く直樹の熱い塊に、心も体も完全に屈服していた。
「ほら、十回目だ。……声、出そうだろ?」
「あ、あぁっ! 飲んじゃう、……全部、……なおの、……全部欲しぃぃっ!」
十五回、二十回……。
始発までの数時間、二人は狭いペアシートの上で、まるで一分一秒を惜しむように、激しく、執拗に互いを搾り取り合った。
真由は快感の過負荷で白目を剥き、何度も、何度も、噴き出すような絶頂を繰り返した。
午前5時。
ブースの天井にあるスピーカーから、始発を知らせる爽やかな音楽が流れた。
二人は汗と、愛の痕跡でドロドロになったまま、力なく横たわっていた。
「……始発、行かなきゃ」
「……うん」
真由は、乱れた服を整えながら、鏡で自分の顔を確認した。
そこには、さっきまでの「友人」の顔ではなく、一晩で徹底的に「女」にされた、淫らな熱を帯びた女の顔があった。
店を出て、駅のホームに向かう階段。
並んで歩く二人の距離は、昨日までよりもずっと近かった。
「また、終電逃したら……ここに来ようね」
真由の囁きに、直樹は黙って彼女の手を強く握り返した。
爽やかな朝の光の中で、二人の間には、誰にも言えない淫らな「共犯者」の契約が結ばれていた。
