台風14号が記録的な勢力で接近していた。
現場監督の剛(ごう)と、新人の拓海(たくみ)は、資材の飛散防止と排水ポンプの確認のため、最後まで現場に残っていた。
「監督、もう風が強すぎて危ないです! 戻りましょう!」
「クソッ、増水が予想より早えな……。拓海、車を出せ!」
しかし、脱出しようとした矢先、突風で倒れた仮囲いが唯一の退路を塞ぎ、さらに近くの斜面で土砂崩れが発生。道路は完全に遮断された。
「……戻るぞ。プレハブに逃げ込むしかねえ」
叩きつけるような雨の中、二人は命からがら事務所代わりのプレハブへと滑り込んだ。
直後、凄まじい衝撃音と共に停電が起こり、外の世界との連絡手段であるスマホの電波も途絶えた。
ガタガタと激しく震え、今にも吹き飛ばされそうなプレハブの小屋。
カセットコンロの青白い炎だけが、二人の濡れた作業着を照らしていた。
「……監督、服、乾かさないと風邪引きますよ」
拓海が震える声で提案したが、剛は答えなかった。
剛はカセットコンロの火を見つめたまま、作業着のポケットから出したウイスキーの小瓶を煽っている。
「拓海……お前、さっきから震えすぎなんだよ」
剛の低く、酒の匂いの混じった声が狭い室内に響いた。
「……っ、すいません、怖くて……」
「怖いか。なら、俺が紛らわせてやるよ」
剛が立ち上がり、拓海を壁際に追い詰めた。
「監督……? 何、して……っ!」
逃げようとする拓海の腕を、剛が片手で軽々と掴み、頭上へ押し付ける。
日々現場で鍛え上げられた剛の腕力は、拓海の抵抗をあざ笑うかのように容易く封じ込めた。
剛の節くれ立った、軍手のように荒れた指が、拓海の首筋をギリリと掴む。
「外は嵐だ。誰もお前を助けに来ねえよ」
強引に奪われる唇。
剛の口内は熱く、強引な舌の侵入に、拓海は嘔吐感に近い衝撃を覚えた。
しかし、首筋を噛むように吸われ、敏感な場所を荒々しい指先で弾かれると、恐怖とは裏腹に、拓海の体は本能的な反応を示し始める。
「やめてください、監督! 離してっ!」
拓海は必死に身をよじり、剛の厚い胸板を蹴り飛ばそうとする。
しかし、剛はびくともせず、逆に拓海の作業着のズボンを強引に引きずり下ろした。
「……ほう、嫌がってるわりに、ここ、もうこんなに濡れてんじゃねえか」
剛は拓海を、床に敷かれた冷たい段ボールの上に乱暴に突き飛ばした。
「待って、……監督、……お願いします、……っ」
涙目で命乞いをする拓海の足首を掴み、剛は獲物を引きずるように自分の方へ引き寄せた。
剛の太く猛々しい剛直が、潤滑も不十分なまま、拓海の狭い門を強引にこじ開けた。
「あ、あああああぁぁぁ……っ!!」
裂けるような痛みに、拓海は背中を反らせ、声を枯らして叫んだ。
しかし、剛は止まらない。
雨風がプレハブの屋根を激しく叩きつける音に紛れ、肉と肉がぶつかる「グチュ、グチュッ」という湿った音だけが室内に響く。
「……おら、もっと泣けよ。泣きながら俺を受け入れろ」
「あ、……ぁっ、……ん、……っ」
激しいピストンに揺さぶられるたび、拓海の脳は激痛と恐怖から逃れるために、強制的に快感の物質を分泌し始める。
「あ、あぁっ! 五回目……っ、……もう、やめて、……壊れるぅぅっ!」
最初は「恐怖」だった。
それが「痛み」に変わり、いつの間にか、脳を焼き切るような「凶暴な快感」へと変質していく。
剛は拓海の腰を両手でガッシリと掴み、逃げ場を塞いだまま、一番奥の急所を何度も、何度も、杭を打つように抉り続けた。
七回、八回、九回……。
拓海はもはや、自分が男であることも、ここが工事現場であることも忘れ、ただ剛が与える圧倒的な暴力的な愛撫に、獣のような喘ぎ声を上げて応えるしかなかった。
「ほら、十回目だ! 嫌がってた割には、締め付けが最高じゃねえか!」
「あ、あぁっ! イッちゃう、イッちゃうぅぅっ! 監督、……監督ぅぅっ!!」
十五回、十六回……。
最後には、拓海は快感の過負荷で意識が朦朧とし、剛の腕の中で泥のように崩れ落ちながら、噴き出すような絶頂を繰り返した。
深夜。
嵐が過ぎ去り、不気味なほど静まり返ったプレハブ。
拓海は全裸のまま、剛に抱き寄せられるようにして横たわっていた。
体中に刻まれた赤い指跡と、奥に残る重みが、昨夜の「蹂躙」が現実であることを生々しく告げている。
「……明日からも、現場、遅れずに来いよ」
剛が拓海の耳元で低く囁く。
拓海は何も答えられず、ただ震える手で自分の濡れた体を抱きしめた。
恐怖。屈辱。
そして……これなしではいられなくなってしまった、呪いのような快感。
拓海は、もう二度と「まともな自分」には戻れないことを、嵐のあとの静寂の中で悟っていた。
