私、慎一(しんいち)28歳。
隣に座る麻衣(まい)さんは、同じ部署の34歳の先輩だ。
彼女は既婚者で、職場では常に凛とした空気を纏い、僕にとっては非の打ち所がない「仕事のできる女性」だった。
地方都市での商談を終え、駅前のビジネスホテルにチェックインした後。
廊下で別れようとした際、彼女がふと足を止めた。
「慎一くん、まだ起きてる?……コンビニで買ったお酒、余っちゃって」
彼女の誘いは、驚くほど自然で、だからこそ断る理由が見つからなかった。
彼女の部屋は、僕の部屋と全く同じ間取りの、狭いシングルルームだった。
「座るところ、ベッドしかないね。ごめんね」
麻衣さんは備え付けの椅子を僕に譲り、自分はベッドの端に腰掛けた。
缶チューハイを開ける「カチッ」という音が、狭い部屋に嫌に大きく響く。
仕事の話を少しした後、沈黙が訪れた。
エアコンの唸る音だけが聞こえる。
麻衣さんは「ふぅ……」と熱い吐息を漏らし、足を組んでいたストッキングの膝を、指先でゆっくりとなぞった。
「……脚、むくんじゃったな」
そう言って彼女は、スカートの裾を少しだけ手繰り寄せ、ストッキングのウエスト部分を指で浮かせて、ゆっくりと引きずり下ろし始めた。
剥き出しになっていく、白く瑞々しい太腿。
職場で見せる「鉄の女」の仮面の下にある、生身の女性の肉体。
「……慎一くん、そんなに見つめられると、恥ずかしいんだけど」
彼女の視線が、僕の視線と絡み合う。
その瞳は、酒のせいだけではない、どこか熱っぽい湿り気を帯びていた。
僕は立ち上がり、彼女の前に立った。
「麻衣さん、……それは反則ですよ」
彼女の手からグラスを取り上げ、サイドテーブルに置く。
彼女の肩が、微かに、でもはっきりと震えた。
「……だって、誰も見てないもの。ここは、職場じゃないし……家でもない」
僕の手が彼女の頬に触れると、彼女は目を閉じ、吸い付くように僕の掌に顔を寄せた。
どちらからともなく顔が近づき、唇が重なる。
「ん、んむっ……んちゅ……っ」
最初は遠慮がちだった接吻が、次第に酸素を奪い合うような、貪欲なものへと変わっていく。
彼女の舌が僕の口内を熱く蹂躙し、彼女の香水の香りと、酒の苦味が混ざり合った独特の匂いが、僕の脳を直接痺れさせた。
僕は彼女を、糊の効いた硬いシーツの上に押し倒した。
麻衣さんは、乱れたブラウスの間から見える鎖骨を赤く染め、荒い呼吸を繰り返している。
「慎一くん……っ、……バレたら、終わりだね……っ」
「……ええ。だから、誰にも聞こえないように」
僕は彼女のスカートを完全に脱ぎ捨て、薄いレースの向こう側で、すでに準備を終えている彼女の聖域に指を滑らせた。
「ひぅっ、……ぁああ……っ!!」
指先が触れた瞬間、彼女は僕の腕を強く掴み、爪を立てた。
「ぐちゅ、……じゅぷ、クチュルゥ……ッ!!」
「はぁ、はぁっ! 麻衣さん、……こんなに熱くなって、溢れてる……」
「やだ、……言わないで、……恥ずかしい……っ!!」
彼女は声を殺そうと自分の唇を噛み締めたが、溢れ出す粘膜音までは隠しきれない。
僕は自身の猛々しい怒張を、彼女の熟れた最奥へと、容赦なく突き立てた。
「ズブッ、……ぬぷりぃぃッ!!」
「ん、んんぅぅぅーーーッ!!」
彼女は目を見開き、仰け反るようにして僕を受け入れた。
ビジネスホテルの薄い壁。隣には他の客がいるかもしれないという極限のスリルが、二人の感覚を研ぎ澄ませていく。
「パンッ、パンッ!! ……じゅるりぃぃッ!!」
肉がぶつかり合う重い音が、狭い部屋に充満する。
「あ、あんっ! ぁあぁっ! ……慎一くん、……そこっ、……奥のところっ、……突き上げられるの、……おかしくなっちゃうぅぅ!!」
普段、誰に対しても完璧な彼女が、今は髪を振り乱し、よだれを垂らしながら、一人の男を求めて腰を振っている。
そのギャップが、僕の理性を完全に焼き切った。
僕は彼女の脚を肩に担ぎ上げ、さらに深く、彼女の子宮を叩くように腰を叩きつけた。
「出すよ、麻衣さん……っ! 全部のナカに……っ!!」
「いいっ、……全部注いで、……あいつの知らない私を、……慎一くんで埋めてぇぇッ!!」
私たちは互いの肌を強く噛みしめ、絶頂の波へと同時に飛び込んだ。
「いっちゃう、……んんーーーっ!! ぁあぁぁーっ!!」
「ビョッ、ビョッ、ドッピュンッ!!」
噴き出した白濁液が、彼女のナカを熱く焦がし、何度も何度も、その深奥へと叩きつけられた。
「んんーーーっ!! ……熱いっ、……ドクドクしてるぅぅ!!」
私たちは重なり合ったまま、激しく痙攣し、混ざり合った蜜をシーツに染み込ませながら、真っ白な虚脱の世界へと溶けていった。
翌朝、ホテルのロビーで待ち合わせた時。
麻衣さんは、いつも通りの凛としたスーツ姿で、完璧な微笑みを浮かべていた。
「慎一くん、おはよう。今日も忙しくなりそうね」
「……ええ、そうですね」
僕たちは一瞬だけ視線を交わし、何事もなかったかのように歩き出した。
でも、彼女の歩き方は昨日よりもわずかに緩やかで、僕の鼻先には、まだ彼女の身体の奥深くの匂いが染み付いていた。
共犯者の夜は終わり、私たちは再び、昨日と同じ「同僚」へと戻っていく。
