深夜2時。
暗い寝室で、恵はスマホの明かりだけを頼りに天井を見つめていた。
隣で眠る夫との間には、もう何年も、互いの肌を熱烈に求めるような温度はない。
たまに肌が触れ合っても、それはただの「無機質なルーチン」に過ぎず、終わった後に残るのは、余計に喉が渇くような空虚さだけだった。
(私の女としての機能は、もう育児と家事のためだけに使い果たされていくんだ……)
砂漠のように乾ききった心と体に、耐え難い焦燥感が募る。
そんな時、彼女は無意識に「ネットスーパー」の注文ボタンを押していた。
いつも配達に来る、あの無愛想で野性的な男・佐々木の顔を思い浮かべながら。
「夜分にすみません、配達です」
23時。
1歳の息子をようやく寝かしつけ、パジャマの上からカーディガンを羽織っただけの無防備な姿で、恵はドアを開けた。
外には、夜の湿気と煙草の匂いを纏った佐々木が、重い段ボールを抱えて立っていた。
「……奥さん、顔色悪いですよ。疲れてんの?」
佐々木の不躾な視線が、カーディガンの隙間から覗く、ノーブラの胸の膨らみに突き刺さる。
恵は気まずさに目を逸らそうとしたが、男の放つ圧倒的な「雄」の気配に、足の指先が小さく震えた。
「重いから、中まで運んじまうよ」
拒む間もなく、佐々木は玄関に踏み込んできた。
狭い空間。
彼が荷物を置くために前屈みになった瞬間、恵の腰に彼の手が触れた。
「……っ!」
「……あんた、ずっと『女』を休ませてんだろ。顔見りゃわかるよ」
佐々木はそのまま恵をドアに押し付けると、背後の鍵を「カチャリ」と閉めた。
「やめて、……子供が起きちゃう……っ!」
恵の声は、リビングから漏れるベビーモニターの「ザー……」という砂嵐のようなノイズにかき消された。
佐々木は恵の抵抗を鼻で笑い、彼女のパジャマのズボンの中に、軍手で擦れたような硬く熱い指を滑り込ませた。
「嫌か? 身体はこんなに、待ち兼ねてたみたいだけどな」
男の指先が、まだ乾いていたはずの秘部を、容赦なく抉るように掻き回す。
「あ、……ぁっ、……ん、……っ!」
クリトリスの芯を、一定のリズムで強く、執拗に弾き上げるテクニック。
恵の脳裏に、夫との淡白な夜には決して現れない、凶暴な快感の火花が散った。
指先が粘膜を弾くたび、恵は声を殺して背中を反らせ、最初の一回を、痺れるような感覚と共に果ててしまった。
一度「道」ができた恵の身体は、もう止まらなかった。
佐々木は恵を冷たい玄関マットの上に跪かせると、自身の作業着のファスナーを乱暴に下ろした。
「……指だけじゃ、足りねえだろ」
恵の視界に、猛々しく反り立った男の剛直が飛び込んでくる。
恐怖よりも先に、身体がそれを欲して熱く疼いた。
佐々木は恵の腰を掴んで自分の方へ引き寄せると、蜜でぐっしょりと濡れた彼女の奥底へ、一気にその塊を突き立てた。
「あ、あああああぁぁぁ……っ!!」
内側から全てを奪われるような圧倒的な質量。
恵は、自分の身体が真っ二つに裂けるような衝撃と、それ以上に深い場所を貫かれる法悦に、白目を剥いてのけぞった。
「グチュッ、グポッ、……ッ、……ッ!」
静まり返った家の中で、肉と肉がぶつかり合う、泥臭い音が響き渡る。
佐々木は恵の首筋を噛み、彼女が悲鳴を上げないよう口を塞ぎながら、一番奥の急所を、杭を打つように抉り抜いた。
「あ、あぁっ! 五回目……っ、……もう、そこは、……イっちゃうぅぅっ!」
佐々木の攻めは、容赦がなかった。
果てて過敏になった場所に、さらに熱く硬い衝撃が絶え間なく叩き込まれる。
リビングからは、何も知らない息子の穏やかな寝息がモニター越しに聞こえている。
その「聖域」のすぐ隣で、自分は名前も知らない配達員に、獣のように跨がれている。その背徳感が、恵をさらに狂わせた。
七回、十回、十二回……。
「ぁ、……っ、ん、……また、イく、果てる、果てちゃうぅぅっ!!」
恵はもはや、自分が母親であることも忘れ、男の首にしがみついて快楽を貪った。
最後の一撃。
佐々木が恵の奥の一番深い場所を、壊すような勢いで突き破ると、恵は全身を激しく痙攣させ、波打つような絶頂と共に、今日一番の深さで何度も何度も果て続けた。
数分後。
佐々木は満足げに身なりを整えると、何事もなかったかのように「完了」のサインを求め、ドアを開けて去っていった。
残されたのは、玄関マットの上に崩れ落ちた恵と、自分の中から溢れ出たもので汚れたタイルだけだった。
恵は、震える手で鍵を閉め、這うようにしてリビングへ戻った。
ベビーモニターの中では、息子がすやすやと眠っている。
彼女は、火照った身体を抱きしめながら、まだ奥に残る男の熱を反芻した。
明日からの日常は、もうこれまでと同じ色には見えない。
彼女の身体は、あの無愛想な男の指と熱がなければ、二度と満足できない「不治の病」に侵されてしまったのだ。
