パイに包まれたエッチな体験談。
(なんだこれ……?)
スマホの画面に映っている映像に俺は思わず飲みかけていたコーヒーを忘れて画面にくぎ付けになった。
画面には綺麗にこんがり焼かれた大きな丸いパイが写っていた。
無言で何者かがそのパイを包丁で一口サイズにサクッと切っていく。
包丁を握る白くて細い指に視線が一瞬写る。
「どう……おいしそうでしょ?」
白い皿に一口サイズのパイが置かれたところで女の声が画面から聞こえてくる。
「う、うん……いきなりパイ焼いてる人は初めて見たわ」
「あw急にごめんね(笑)」
女がはしゃぐように笑う。
俺はとあるスマホのライブ動画チャットのアプリを通じて、この女としゃべっている。
つい2,3日前にこのアプリを知ってからは、これが案外楽しかったので、土日の休みは一人暮らしのアパートの部屋にこもってひたすら不特定多数の人たちとしゃべりまくっていた。
そして、とある日曜日の午後、今日スマホのアプリをつけたら、このパイ生地女が出てきたのである。
「なんで、パイ焼いてるの?」
俺は率直な疑問をまずその女に投げかけた。
「あ、あのね、新作を作ろうと思ってね。誰かに見てもらおうと思ってさ。そしたらこのアプリってちょうどいいかなって思って」
女は少し恥ずかしそうに答えた。
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